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田口ランディ

『 ある日、アパートの一室で
腐乱死体となって発見された兄の死臭を嗅いで以来、
朝倉ユキは死臭を嗅ぎ分けられるようになった。

兄はなぜ引きこもり、生きることをやめたのか。
彗星のごとく出現し、各界に衝撃を与えた小説デビュー作。 』

田口ランディさんのデビュー作
『コンセント』(幻冬舎) の紹介文です。

 

うつ病休職して一年が経つ頃
よく図書館の不登校ひきこもり心身症関連の棚の前にいました。
何か自分の状態をよくするための情報を必死でもとめていました。

 

そんなとき目についたのが田口ランディさんのエッセイでした。

ランディさんのお兄さんはアパートの自室で変死したそうで
ご自身の体験をベースにした自伝のような小説に
ぐいぐい引き込まれました・・・

 

 

うつ病休職中の時期に図書館のひきこもりコーナーの棚で田口ランディさんの本を手に取りました。

最初はエッセイを中心に何冊か立て続けに読んだ記憶があります。
ランディさんのお兄さんがひきこもりの末に餓死したこと
その部屋にはコンセントに繋がったままの掃除機があったこと
などを知り興味をもちました。

エッセイかコラムの中にこんな話が掲載されていました。

『 兄が生きていたころ、
私や両親が兄に言い続けた言葉。
それは「働きなさい」だった。
特に父と母は口を開けば
「働け、働け、働け」と兄に言い続けた。 』

あらためて振り返ると、
私は恵まれていたなと思います。

私の両親は、
うつ病で横になって何もしないでいる私に
プレッシャーをかけるようなことを
ほとんど言いませんでした。

特に父は、

『 別に働けなくてもいい

生きているだけでいい 』

と折に触れ口にしていました。

うつ病に至ったプロセスには父の影響が
多大にあるけれども
うつ病から回復したのも父の想いが土台になっている。

この不思議な流れに感謝したいと思います。

 

田口ランディさんは、働かないでひきこもっているお兄さんにこう言ったことがあるそうです。

『 お兄ちゃん、この世の中は働かないと生きていけないんだよ。
労働して、お金を稼がないと何もできない。

あらゆる場所は誰かの所有物で、
家でも土地でも自分で獲得するためには、
まずお金がないとダメなんだよ。
こうしていても水道代もガス代もかかるんだよ。
住民税もかかるんだよ。

とにかく働かなかったら……日本では生きていけないんだよ 』

 

全くもって正論です
世の中の多くの大人がそう言うでしょう

そして、ランディさんは話しながら
自分がとても苦しくなったそうです・・・

お兄さんが亡くなった後は、
次のように思うようになったそうです。

『 私は、「働いてお金を稼ぐって楽しい」と思って
二十代、三十代を生きてきた。
「おいしい生活」の時代だったから。
だけど、いまは、なんだか怖くなる。
生きるために、労働と所有以外の、別の根拠が欲しい。
「おかしいのはオマエらの方だ」という
兄の言葉が、忘れられないんだ 』

『 おかしいのはオマエらの方だ 』

声高に そんなふうには叫べないけど

お兄さんの言葉が胸に響きます

 

私がうつ病休職中に読み漁った田口ランディさんの本の中から特に響いたものをピックアップします。

『 生きる意味を教えてくださいー生と死をめぐる対話 』
(バジリコ出版社)

対談集ですが、宮台真司さんとのページに80ページ割いています。
他の方達との対談の倍近くのページを使っていて
かつて宮台さんの著書 『 終わりなき日常を生きろ 』
をバイブル視していた私にはぐっとくるものがありました。

『 いつか森で会う日まで 』 (PHP)
『 癒しの森―ひかりのあめふるしま 屋久島 』 (ダイヤモンド社)

ランディさんが、屋久島に魅かれるようになっていった過程
屋久島への思いが伝わってきます。
NLPによってうつ病から回復し始めた私は、
この本を読んだことがきっかけとなり
屋久島に興味を抱き旅行に出かけることになります。

『 神様はいますか? 』 (マガジンハウス)

表題にあるようないくつかの疑問に対する
ランディさんなりの答えを模索するような感じですが、
・人生は生きるに価しますか
などはずっと私の心にあったので
ランディさんならどう答えるのだろうと
読んでみたくなりました。

 

KKベストセラーズから発行されている雑誌『一個人』の130号に仏陀の言葉という特集が掲載されています。

その中で田口ランディさんが
仏教に対する見解を述べられています。

ランディさんは、ブッダの教えを
宗教ではなく思想や哲学として見られているようですが、
興味深いことをおっしゃっていました。

『 浄土真宗の開祖・親鸞は、
南無阿弥陀仏と唱えれば成仏できて救われると説きました。
すべての人を救うという本願を立てた阿弥陀如来は、
救済を切に願う人間の悩みを救う存在として、
人間の脳の中で抽象的な概念として生み出された、
いわば人間の発明品です。

私の場合、この抽象的概念がどういう風に発明されたのかが
おもしろく、知りたいところだと思いました。 』

ランディさんによると
救われたいという思いがないと
南無阿弥陀仏と唱えることはないので
悩みがあるからこそ救いがある
という構造になっている

『 浄土真宗の論理は「悩みなくして救いなし」です。

絶望すればするほど、深い悩みがあればあるほど、
救済は確約されるということ。

悩みと救済はセット(表裏一体)になっているというわけです。 』

悩みと救済が表裏一体になっていてセットである

とてもおもしろく、共感を感じました。

また、次のようにも述べられていました。

『 日本の仏教の中で共通の概念としてあるのが「仏性」です。

仏性は、誰にでもあるとされます。

そして、悩みが生じた段階で、

仏性の方から人間に接近してくるのです。 』

悩みが生じるからこそ仏性が近付いてくる

うーん 興味深い

悩みと救いは表裏一体

裏表でセットになっている

ランディさんの見解の最後の言葉も
なるほど~ と感じるものがありました。

『 私自身のことで言えば、ハッキリ言って今、
″仏教″を必要としてはいません。
それは、いわば「絶望していないから」です。
私は「生きている苦しみから逃れたい」などの願望もなければ、
そのようなことで悩んでもいないんです。 』

 

『 生きる意味を問い続けて つながり支え合い歩みたい 』

新聞で田口ランディさんのインタビュー記事を読みました。

うつ病で休職当時~
ランディさんの作品やエッセイに嵌り、
図書館で借りてきてよく読んでいました。

水俣病、原爆、原発、精神障害、老人問題 ー。
生と死という人間の根源をテーマに作品を書き続ける~

ランディさんの作家として原点は、実兄の死でした・・・
引きこもりの末に餓死した兄を描いた『コンセント』で、
40歳の時に作家デビュー。

兄はなぜ死ななければならなかったのか

ランディさん自身も父親との間に問題を抱えていました。
父を憎み、父を否定することでアイデンティティを
つくってきたと言います。
同時に、あの父がいなければ作家になっていなかった、 とも・・・

「  最近ようやく、しみじみと悲しいです。
兄が一番必要としていたのは、父親の愛情だったと思います。
兄の死は、親から愛されないことへの抗議でした。

アルコール依存症だった父は自分の心の問題で
手いっぱいだったんでしょう
そのことが今はわかります 」

私も父から無条件の愛情が欲しかった

むろん母からも・・・

私の父も完全なアルコール中毒までは
いっていませんでしたが、アル中一歩手前なくらいでした
父自身が自分の心の問題で手いっぱいやったと思います

私も今だから
うつ病から回復した今だから
というよりは回復のプロセスでそのことに気付けました。

生きているうちにそのことに
気付けたことは幸運やったと思います。

参考 ~ 田口ランディへの考察 ~

 

うつ病・抑うつ状態でお困りの方やお仕事を休職中の方向けのカウンセリングについてもっと知りたい方はこちらのページにてご案内しております。

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