欠乏感
『持っていないものが私の手の中にあれば、どんなに幸せだろう』
私達はこの社会によってこんなふうに思わされていないでしょうか・・・
〜ディオゲネスの寓話〜
アテネの町のディオゲネスは、ぼろ切れを身にまとい、
他人の軒先で寝て暮らしていたと言われている。
ある日の朝、ディオゲネスが一晩過ごした玄関先で
まだうつらうつらしているところへ、一人の裕福な地主がやって来た。
「おはよう」 地主が言った。
「おはよう」 ディオゲネスは答えた。
「このところツキに恵まれたもので、
いくらか差し上げようかと思って来たんです」
ディオゲネスは黙って身動きひとつせず、お金の入った袋に目をやった。
「とっておいてください。遠慮することはありません。
これは私のもので、あなたに差し上げるのだ。
私よりあなたの方が必要でしょう」
「あなたはもっと持っているのですか?」
ディオゲネスは尋ねた。
「もちろんですとも」と裕福な地主は答えた。
「もっとたくさんありますよ」
「今持っている以上に欲しくはないのですか?」
「それはもちろん、願ったりですね」
「それならこのお金はしまっておきなさい。
私よりもあなたの方が必要でしょう」
( 『寓話セラピー』 ホルヘ・ブカイ著より )






